バレエクラスタ系医師の日記

バレエクラスタ系医師の観劇日記

積極的治療と人生観

若手医師が年数を経ていくと日々シビアな病状説明をするようになってくる。

 

ある癌を発症した高齢女性。高齢とはいっても60代後半。

既往歴や臓器障害はほとんどなく、比較的効果強めの抗がん剤も使えそうな状況。

 

積極的治療が妥当だろうと自分の中で決めつつ本人と夫に説明するが、

 

長い予後があるかもしれなくても、強くてしんどい治療は嫌です。

残りが1年や数カ月なら、すぐに家に帰って日々を大切に生きていきます。

 

私はどちらかというと積極的治療よりは緩和ケア・その人らしく最期を迎える在宅療養などの調整が好きな医師であると思っていた。

彼女の言葉にとても感動した。それを支える夫にも。

 

しかし医師として彼女に向き合う私が発したのは「本当にそれでいいのですね?」という言葉。ショックだった。「じゃあそうしましょう」と言ってもなんだか冷たく聞こえる。

癌と告知されて混乱して治療を拒否しているだけなのではないか?その疑いを払しょくするためにも、本当にそれでいいのか聞かざるを得ない自分。

 

この仕事はなんて難しいのだろう。出会って数日、もしくは初めまして、という状況でも、相手がどれくらい理解しているか、本当にこの人が後悔しない治療は何か。それを見極めないといけない。

そんな中でも自分が後から訴えられたくない、こんなはずじゃなかった、こうなるとは思わなかったと言われたくないという心理も働く。

人生は一回しかない。死ぬのも1回しかない。途中で治療をした方がよかったなと言われても、きっとその時には癌は進んでおり立て直せない。

患者さんもかなりの覚悟、もしくは確固たる死生観、自分の幸せをはっきり意識できていないといけない。

それを確かめようと何度も聞けば聞くほど、ぶしつけな医者になっていくような気もする。

 

経験がすべてを解決していくのだろうか。

若手医師とバイト

どうもこんばんは。

 

新国立劇場バレエ団でライモンダが開幕しましたね。

お客を入れてのグランドバレエが上演できることそれだけでおめでたいです。

 

私はというと関西で若手医師として働く手前、ライモンダは行けそうにありません…

次に見に行くのはイスラエル・ガルバンかしら。

 

さて、若手内科医師って土日なにしてんの?という話です。
私は市中病院(大学病院ではない病院)で働いているため、外勤の日とかはありません。普通に月~金の9-17時勤務って感じ。しかし、土曜(もしくは日曜)の朝はなんとなく病院に患者さんを見にいってることが多いです。

うちの科は休みの日は独自に科の病棟当番医を設定しているため、必ずしも行く必要はなく、行かなくても変な空気にはならない比較的ホワイトな科であると思います。

 

ではなぜいくのか。

ひとつには病態の悪い患者さん(熱出てるとか、腫瘍のコントロールが悪くて臓器障害が出ているとか)が単純に気になるからというのがあります。特に自分が若手であれば、病状が悪いとどうなるのか単純に見てみたいという学問的な興味があるからです。

 

もうひとつにはやはり上の先生に迷惑をかけたくない、迷惑かけるくらいなら自分で対応したいという主治医ならではの思いがあるからかな…

 

時代の流れからはそういう意識も変えていかないといけないんですけどね…

 

それはそうと、3年目になるとよく先輩から「バイトしないの?」と聞かれます。老人ホーム併設の民間病院の夜間当直や救急当直など、バイト医でまかなわれている業務は普通の人が思うより多く存在します。しかもそういうバイトは一晩で10万とかもらえたりします。

 

私はというと、、、周りの人が入れなくなって変わったり、病院として枠があって回している枠は入りますが、自分ではあまり積極的に入ることはないです。

なぜか。

 

だって月-金+土日どっちか働くなら、休みの日は休みたいもの劇場行けなくなっちゃうし。普通の会社員くらいの給料はあるし。独り身で結婚願望もないから自分の分さえあればいいし。

 

そういうわけで、休みの日は寝たり、ダンスレッスン行ったり、劇場行ったりしています。今は専攻医だから頑張ってるけど、内科の管理をある程度身に着けたら、ゆくゆくは在宅・緩和医療の往診や老健勤務や産業医になるのもいいなとか思ってます。

 

あーーーーーダンス見に行きたい。

ロイヤルの新たなプリンシパル

金子ふみさんがロイヤルバレエ団のプリンシパルになられましたね!

本当におめでとうございます。

 

生の舞台があまり身近でなくなってしまってから1年以上。

正直、日本って東京以外では舞台数はかなり少ないと思うのですが、私も東京以外の地に住んでいるため、年間30回も舞台を見ていたことを思い出せなくなっています...

 

当たり前ですが、舞台なんてなくても生きていけます。

私は医療を仕事にしていますが、命は長くさせられても、救えないことって多いです。一命はとりとめてるけど、生気を失って、病院にずっといて…みたいな。

初期だけど何回か化学療法しないといけない癌とかで、80歳以上で、2週間入院、1週間退院を半年以上も繰り返して、知らず知らずに弱っていく…とか。

 

人間ってなんのために生きてるんでしょうか。

私は最期まで何を好きでいられるでしょうか。

 

今は最期まで舞台を好きでいたいと思います。

バレエとかオーケストラって見るのに集中力もいるし、2時間くらい自分を用意しないといけないし、生じゃない限り家で見るのってやっぱりおもしろくない。

仕事で疲れて帰って、あえて見ようとは思わなくなっていく。好きだったことを忘れてしまう。今多くの人がそうなっている気がします。

 

そうやって少しずつ見なくなっていっても、たまにふと見ると、とんでもなく美しい。

それに気づくとほっとします。

 

美しいものを美しいと思えること。舞台に反応する感性がまだあること。

そういうのも今まで舞台を見てきて感性を磨いて身についたものだと思うので、今は少しづつ薄れていっている気がする。

 

早くすべてが再開されますように。

そしてロイヤルが来日された際は、光をまとったふみさんがみられますように。

エコー室の彼女

※患者情報は改変しています。

研修医時代に出会った20代女性。
私はエコー検査の練習中で、とある検査室で技師さんにつきながら検査を見学していた。

彼女はエコー検査に呼ばれてやってきた。
綺麗で、礼儀正しく、こちらの指示にも「はい」ときちんと返事をしてくれた。検査後は「ありがとうございました」と深くお礼をして帰っていった。

カルテを見ると彼女は産科入院中。
水商売で生活していたが妊娠してしまい、ホテルの一室で出産したが、出血が止まらず救急車を呼んだという。
病院にはお金がないので怖くていけなかったとのこと。

独りで子供を産む怖さよりも、お金がなくて病院にいく怖さが勝っていたなんて。

育ちのいい男の先輩医師が言った。「あんなの受け入れられないわ」と。

あんなのってなんだろう。
私はたまたまそれなりの家(母子家庭だしさほど裕福ではないが)に産まれ、公立の高校大学に進めたからこうしているが、どこかで一歩間違えば彼女になり得た。

相手の男が誰か分かっているのかも不明だが、そいつはこのことを知っているのだろうか。
なぜ彼女だけがこんな目にあうのだろう。

あの礼儀正しく、硬いベッドにじっと寝そべりながら、小さな声で返事をする彼女のことは、たまに思い出す。

不要不急だけで生きていきたい。2

私は現在とある大阪の病院で働く20代女性医師です。専門領域は腫瘍。要は癌です。詳しくは今は言いませんが…。

 

正直、治せないことも多いです。

完治する治療して、再発して、次の化学療法やって、あんまり効かなくて…みたいなよくある経過。でもそういうときに一番よく言われるのが「長生きしたい、なんとかしてください」

 

長生きは一般的に良いことみたいな感じですが、本当にそうでしょうか。

人ってみんな死ぬんです。絶対に。

事故などの急な死や、子供の難病などはたしかに助けてあげたいような気もするけど、無理な時は無理です。

 

そういうのを日々目にしてると、自分はなぜ生きているのかよく考えます。

3歳の娘のために今は死ねない、絶対直すと奮起する30歳男性。孫の結婚式を見るまで生きるという80歳女性。生きる目的って本当にいろいろですが、結局みんな思い出のために生きてる気がします。

 

私は結婚願望があまりなく、誰にも縛られず好きなところで好きなように生きたいと思っています。

そうなってくると、やはり私にとって第一に大切なものは舞台。

今この日本でかなり蔑ろにされている芸術と呼ばれるもの。

正直自分が自由に見たい舞台を見れる人生が手に入るなら、あとのことはどうでもいいとすら思っています。医師としては一流にはなれないかもしれない。人生はいくつものことは選べないというのはなんとなくわかるから。

 

あー舞台観たい。どうせ観れないなら仕事…どうしようかな

不要不急だけで生きていきたい。1

更新が1カ月も空いています。3日坊主以下ですね。見てる人全くいないブログですが、すみません。よくないですね。

 

言い訳としてはまず、コロナで大阪の公演が少ないことが一つ。

もう一つはコロナで私の働く大阪が大変なことになっているからです。まあ内情は身バレしそうなので書きませんが、各内科から月替わりで数人コロナ部隊に召し上げるだけでは足りなくなり、あんな科やこんな科からも・・・おっと。

とりあえずオリンピックなんてすっかり中止だと思ってたらどうやら違うらしいですね?あまりに病院にいる時間が長いし、家にテレビもないのでよくわかりませんが、政治の方向性としては日本を消滅させる方向になってるのかしらん。

 

と、いうわけで、申し訳ありませんが、初心者の方に舞台を紹介するような余裕は全くありません。

というか、どうせだれも見ていないのだし、好きなことを書きます。

無理だと思ったら方向転換大切。続けることが大切。古くから伝わる名言ここにあり。

 

 

わたしの好きなことについて書きます。

 

①バレエ・ダンス

これは間違いない。7歳からバレエを習い始め、高校で辞めてしまい、紆余曲折(?)を経て観劇のオタクとなったのは大学生の時。今はクラシック~ネオクラシック(ノイマイヤーとか)~コンテンポラリーからなんでもござれ。

バレエしか知らないのもつまんない(というか現代ではダンス~バレエの違いを規定することはできないのでは?)となり、大学でオーケストラ(ヴィオラ担当)、ジャズダンス、をやってみて、社会人ではこっそり社交ダンスはじめました。

踊るって見るのもやるのも楽しい。歩くだけでこんな難しいことある?って気づけること。自分のここにこんな筋肉があるって気付くこと。身体ってこんな風に動くんだってなること。動きそのものが美しかったりただすごかったりキモかったり。

あたりまえだけど言語より前からダンスはあったと思う。英語通じないときに伝えようとするあれと一緒ですよね。要はジェスチャーなんだから。

…早くも私の中の秘められしオタクがうざくなってきたので次の項目へ。

 

②音楽

ダンスと音楽ってつながってるから好きになるのは自明ですが。まぁもともとはやっぱり習ってたバレエやピアノの影響でクラシックから入り、大学でオーケストラに入り、それはいろんなところで演奏しました。学部の影響で、病院や作業所、ボランティアが多かったですが。あとは知り合いの結婚式、パーティの余興とか。コンサートもしょっちゅう行きます。汚れたジーパンにすっぴんでフェスティバルホールの学生席いつも取っててすみません。客席ではよく泣いてます。

かといってクラシックだけが好きなわけでもなく、Superflyのファンクラブ会員であり、星野源大好きであり、椎名林檎はミューズ、Billie Eilish好き、ミスチル・ゆず・コブクロのライブも行くようなミーハーであります。

 

③本

昔は本当によく読んだけどな・・・。最近全然ですね。

今月は仕事がしんどすぎて、大泉洋星野源中谷美紀のエッセイとかしか読んでないです。それはそれでおもしろいのですが…笑 あ、私大学の時水曜どうでしょうハマって見てました。

 

 

さて、ひとまず今日はここまで。山もオチもなさ過ぎてやばいですが、続きます。

マシューボーン 赤い靴

当直明けで急遽行ってきました。マシューボーンの赤い靴。

梅田のシネリーブルさん、14時20分開始の回しかないというのはなかなか厳しい。

 

マシューボーンを見始めたのもここ2年くらいで、完全に初心者なのですが。これはそもそもバレエ作品というのかどうか、いつも迷います。

 

バレエっぽいミュージカル?ミュージカルっぽいバレエ?
個人的にはそんな感じのイメージです。

ただしセリフは無いので、外国語がわからなくても見れるのはダンス作品のいいところ。

まずはあらすじから。

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舞台はバレエリュス時代(1909年-1929年に活動した伝説のバレエ団) 

叔母の売り込みのおかげもあり、プロデューサーに見いだされ、大きなバレエ団に入団できたヴィクトリアは才能あるダンサー。

団のプリンシパルがケガをしたため代役に抜擢され、新作作品「赤い靴」でファーストキャスト(主役)となることに。童話の赤い靴を元としたこの作品で、舞台は大成功し、若手作曲家の恋人もでき順風満帆、人生の絶頂を迎える彼女。

しかし彼女に思いを寄せていたプロデューサーは二人の恋愛を認めず、二人は団を去ることにします。団を出た二人は安っぽい下町のショーにしか出るくらいの仕事しかなく、ヴィクトリアは思い出の舞台「赤い靴」で履いたシューズを眺めるばかり。

一方で、プロデューサーもまたヴィクトリアを失ったことに大きなショックを受け、傷を癒せずにいます。

そんなプロデューサーのもとに舞い戻る彼女。再び「赤い靴」を履き舞台に立ちます。しかし恋人も失い、最後にはプロデューサーともうまくいかなくなり、錯乱し列車の前に飛び出し亡くなってしまいます。プロデューサーは赤い靴を握りしめるのでした。

 

舞台転換のスピーディーさ、緩急のつけ方などはさすがのマシューボーン。まったく予習をせずに行った私でもわかりやすいストーリー展開です。当直明けでも寝ることはありませんでした。

ダンスを見たことのない初心者の方にはとても見やすくて、楽しい作品でぜひ見に行ってほしいと思います!

ただし、これ映画とほとんど一緒のあらすじなのですね。マシューボーンといえば新演出のスワンレイク、というイメージで行くと、なんか普通…となるかもしれません。

細かい演出や小ネタは明らかにバレエリュスをモチーフにしているので、観劇オタクはそういうところを楽しんでね、というマシューからのメッセージなのでしょうか...やや上から目線ですが。

 

なにはともあれカラフルでスピーディ、王道あらすじで初心者の方にはとてもおすすめです!マシューボーンを見たことがないという方、ぜひこの作品から見始めてはいかがでしょうか。

 

ダンス観劇上級者になっていくと、メッセージも普通だし、ダンスもバレエとミュージカルの間みたいな感じなのでものたりなくなるかも、しれません。

 

 

最後に、キャリアを取るか愛を取るか?そういうのがない世界になるのはまだまだ時間がかかりそうですね…特に日本。